初心者向けの講座や商品を出している。あるいは、始めたばかりの人に向けて情報発信をしている。
そのどちらかで反応が落ちてきたなら、原因は中身ではありません。あなたが、遠くまで来たからです。
そう言われても、すぐには納得できないと思います。
内容が古くなったのか。自分の実力が落ちたのか。
もっと分かりやすく説明しないといけないのか。私もそう考えていました。
講座の説明会を案内しても、申し込みが入らない。書いても、初心者からの反応が薄い。
そういう時期です。
知人から聞いた話です。その人はロードバイクを始めたばかりで、詳しい人から一緒に走りに行こうと誘われるのだそうです。
でも、行けない。躊躇してしまう。
玄人には、初心者がどこでつまずくのか、どういう道が走りにくいのかが分からない。だから、自分が足手まといになってしまうんじゃないか、と。
誘っている側に、悪気はありません。むしろ親切で誘っています。
それでも、来ない。
同じことが、教える側にも、売る側にも起きます。
この記事で渡すのは、打ち手そのものではありません。打ち手を選ぶ前の、順番の話です。
読み終える頃には、反応が落ちたときに何から手をつけるかが、一つ決まっていると思います。
反応が落ちたとき、最初にやってはいけないこと
ペルソナを立て直す。顧客の言葉を拾い直す。
記事のタイトルを付け直す。セールスレターを書き換える。
切り口をリニューアルして、新しいプロモーションを打つ。
反応が落ちたとき、私たちが手をつけるのはたいていこの辺りです。私も、世の中で言われている手はひととおりやりました。
これを、いったん止めます。
先にやることは一つです。自分と、届けたい相手との間が、どれくらい離れているかを見る。
作る作業ではなく、見る作業です。だから時間もかかりません。
同じことを言っているのに、もう響かない
私が独立したのは12年ほど前です。
駆け出しの頃、あるいは成果を出し始めた頃は、始めたばかりの人をたくさん集客できました。引きつけることも、関心を持ってもらうことも、難しくありませんでした。
それが、ビジネスが成り立つようになってから4、5年で変わりました。同じことを言っているつもりなのに、もう響かない。
いちばん分かりやすかったのは、講座の説明会です。
案内を出しても、反応がどんどん落ちていく。しかも一度に落ちるのではなく、やればやるほど、徐々に落ちる。
いろいろな手を尽くしましたが、その流れは変えられませんでした。
そのとき思い出したのが、自分が初心者だった頃に、当時ビジネスを習っていた人から言われた言葉でした。
「今がすごく重要なんだ。その結果の出ていない苦しい時期こそが重要で、なぜなら、その気持ちは次第に分からなくなってしまうからだ」
今となっては、まさにそれが真実だと痛感しています。
自分の書いた原稿を読み返しても、どこがズレているのか特定できません。
たぶん、気づかないうちにちょいちょい難しいことを言っている。相手にとってピンとこないことを言っている。
具体的にそれが何なのかは、今も分かりません。ただ、トータルとして、届かない。
力があるほど、ズレの代償は大きくなる
反応が落ちている人の多くは、技術が足りないわけではありません。
むしろ逆です。経験に裏打ちされた成熟したスキルがあり、商品力もある。
それだけのものを持っているのに、自分が先に進んでしまったせいで距離ができて、届かなくなっている。
生じているのは、ちょっとしたズレです。理解されない、表現が響かない。
その程度のズレが埋まらないだけで、これまで積み上げてきたものが、誰にも受け取られないまま終わってしまいます。
商品を作り直すほど、初心者から遠ざかる
それなのに、私たちはたいてい違う場所を責めます。
もう自分は古いんじゃないか。時代に合わなくなったんじゃないか。
商品で言えば、これはもう価値がなくなったんだ、受け入れられなくなったんだ、と。
これが誤診です。
古くなったのは、あなたでも商品でもありません。届け方のほうです。
初心者の気持ちが分からなくなり、その人に響く表現ができなくなった。自分ではしているつもりでも、できていない。
ただそれだけのことです。
やっかいなのは、この誤診をしたまま動くと、一番コストの高い手を打ってしまうことです。
商品が古いと診断すれば、やることはリニューアルと新しいプロモーションになります。
しかも作り直すのは今の自分です。さらに離れた場所から作ることになる。
改善を重ねるほど遠ざかるのは、そのためです。
ここで言いたいのは、その改善が無駄だった、ということではありません。遠ざかったのは、判断を間違えたからではなく、上達したからです。
初心者の気持ちが分からないのは、慢心ではありません
「初心忘るべからず」という言葉があります。
あれは戒めの形をしているので、初心が分からなくなった人は自分が慢心したのだと受け取ります。
でもこれは、気合や心構えの問題ではありません。 距離が開けば、誰にでも起きます。
そして、あなたが劣化したという話でもありません。逆です。
それだけスキルを磨き、経験を積んで、遠いところまで来たということです。 初心者の気持ちが分からなくなったのは、成熟した証拠のほうです。
直接届けるか、人を通すか、初心者向けをやめるか
だから、順番を変えます。中身を疑う前に、自分がどこまで離れたかを見る。
まず認めることが一つあります。私が直接アプローチできる相手は、もう初心者ではありません。
自分よりも少し先を行く人か、自分と同じステージにいる人。そこまでが、私の言葉が本当に届く範囲です。
誰の言葉であっても、届くのは自分のちょっと前の段階にいる人までなのだと思います。
距離には端があって、自分が進めば、その端も一緒に前へ動いていく。だから昔届いた相手に、今は届かない。
そう腑に落ちると、打ち手は三つに絞られます。
一つ目は、初心者の言葉を観察して、直接届け続けること。
二つ目は、初心者に近い人を通して届けること。
三つ目は、初心者向けをやめて、今の自分に近い人へ届けること。
どれを選んでも構いません。ただ、どれも「自分は離れている」と認めたあとにしか選べません。
誤診したままだと、この三択は目に入らず、商品を作り直す作業に戻ってしまいます。
私自身は、二つ目に近い形になりました。ただこれは、自信を持って選んだ方法ではありません。
気づいたらそうなっていて、そうしないとリーチできなかった、というだけです。 この形に落ち着くまでには、ずいぶん時間がかかりました。
ここまで来ると、原稿を前にしたときの問いが変わります。どう書けば刺さるか、ではありません。
この相手に、今の自分から直接渡すのか。誰かを通すのか。
それとも、別の相手に向けるのか。
決めるのは、そこです。
今日、一人だけ話を聞いてみる
今の自分より何段階か手前にいる人と、一度だけ話してみる。
教えるためではなく、その人が何につまずいて、それをどんな言葉で言うのかを聞くために。それだけです。
変わるのは、自分がどこまで離れたかの見当がつくことです。話したところで、距離そのものが縮まるわけではありません。
それでも、離れている自覚があるかないかで、書く言葉は変わります。
あのとき言われた言葉が、実害として返ってきました。
自分が今どこにいて、誰に届く位置にいるのか。それを認めるのは、少し寂しいことでもあります。
そして今は、こう思っています。分からなくなったのは、遠くまで来たからです。
責める場所を間違えなければ、それは損失ではなく、ここまで来た距離です。
探究の続きを、一緒に
距離には端があって、自分が進めば、その端も一緒に前へ動いていきます。
だとすると、自分が今どこに立っているのかは、その都度測り直すしかありません。
まずは、さきほどの一手を。今の自分より何段階か手前にいる人と、一度だけ話してみてください。
教えようとせずに聞くだけで、自分の言葉との距離が見えてきます。
このニュースレターでは、自分の現在地を見直して、誰に何を届けるかを考えるための話を、毎日お届けしています。
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3問で終わる短いコースもあるので、自分が今どこに立っているのか確かめたくなった方は、試してみてください。
自分のことを、もう少し丁寧に知りたい方に届けたいと思っています。
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TOSHIさん、おはようございます。
「自分と、届けたい相手との間が、どれくらい離れているかを見る」これ大事ですよね。
見たら、届ける相手の声を聞くこと、観察することを忘れないようにしたいと思いました。
共感する記事をありがとうございます🎶