情報発信には、媒体ごとに「鉄板の形」があります。単なる定番の型ではなく、ある意味で裏技的にうまくいく形です。
そう言われても、すぐには受け取れないと思います。
じゃあ、どうすればいいんですか、と。私は攻略法を書きたくてこれを始めたんじゃない、と。
私も、同じことを思ってきました。
中身は単純です。その媒体の攻略法を、その媒体で発信すること。
noteならnote、SubstackならSubstack、XならX。それぞれのプラットフォームに合わせた発信であることが条件になります。
その媒体にいる人たちは、それぞれがその媒体で情報発信をしている人たちです。
「そこでうまくいきたい」と思っている人たちに対して、一番ニーズが強い「どうやったらうまくいくか」を提示する。そこに当てていくのが、ビジネスとしては一番の正解です。
ある無料ブログで英会話を発信していた人の話を、後半に書きます。自分を見つけてもらうところから始めて、成果が出るまでに1年かかった人です。
いちばん当てはまるのは、発信していて伸びない人です。ただ、人に教える側にも、情報を受け取る側にも、同じことが起きています。
文章力を上げても、埋まらないもの
これが分かると、自分の熱意や才能を疑うことを、やめていいことになります。
止められるのは、それだけではありません。
文章力を上げようとすること。投稿の頻度を増やすこと。
タイトルを何度も付け直すこと。
どれも、うまくいかない理由が自分の側にあると考えているから出てくる手です。理由が別の場所にあるなら、そこをいくら打っても埋まりません。
ほぼ全員が結果を出した、一つの答え
私がブログを教えていたのは、もう5年以上前のことです。今はブログ講座としては取っていません。
鉄板の形そのものは、今はより鮮明になってきていると思います。ブログというのはまだまだ幅が広いので、いいと言えばいいのですが、今は媒体に特化しているので、かなり狭い世界での話になってきています。
私のところに集まってきたのは、「ブログでうまくいきたい」「ブログからビジネスを作って収益化したい」という人たちでした。
だから、私が提供できる最も確実な正解は決まっていました。「ブログで稼ぐ方法」というジャンルで発信してもらうことです。
実際にそのジャンルで取り組んだ人は、ほぼ全員が結果を出しました。
けれども、それはその人が本当にやりたいことではない可能性が高いのです。健康食品を売りたい人もいれば、英会話の分野で情報発信をしたい人もいました。
そして、ここに私の限界がありました。
自分が経験したことであれば、「こうやればいい」というノウハウをほぼマニュアル化して渡せます。しかし、違うジャンルになった途端にアプローチを変えなければならず、マニュアル化ができません。
葛藤はもう一つありました。「ブログで稼ぐ方法」を選んだ人も、その時点ではまだ成果が出ていませんでした。
不利な戦いだと、気づけないまま
三方向それぞれに、放っておくと失うものがあります。
発信する側は、鉄板の形が分からないので、あえて不利な戦いをしていることに気づけません。
気づけないまま悩み続けるのは、構造的に当然のことです。それが分かっていないと、無駄にモチベーションを削られたり、無駄に自分を責めたりすることになります。
教える側は、指導の土台を失います。あなたが鉄板以外を選んだ時点で厳しい戦いになっていることを、伝えるかどうかはともかく、把握しておく必要があります。
受け取る側は、判断の前提を失います。
あなたが今ついていっている人は、その媒体の攻略法を発信することによって、その媒体の中だけでうまくいっているのかもしれません。その人は、あなたのジャンルについては専門外なのだという前提があるかどうかで、受け取り方は変わります。
才能のせいにしていた場所
うまくいかないとき、責める先はだいたい決まっています。
自分には才能がない。発信力がない。
やっていても意味がない。
伸びている人の発信を見に行っては、自分のものと見比べる。届かないのは熱意が足りないからだと考えて、書き直す。
けれども、比較の対象がその媒体の攻略法を教えているだけなら、伸びるはずがありません。落ち込む必要もまったくなくて、当然のことなんです。
分かっていて、それでもやらない理由
鉄板が正しいこと自体は、今もそう思っています。 それでも私は、自分ではやりませんし、やれません。
私がやると、嘘になるからです。
少なくとも私自身は、「どうやったらうまくいくか」の答えを持っていません。
正直、嘘を書いてしまったことがあります。自分がやっていないことについて「やった」と言ってしまったり、できないことを「できる」と言ってしまったりしたということです。
確かにその時は取り繕えて、短期的な成果には結びついたかもしれないですが、長期的にはやはり苦しいですね。非常に苦しい。
そこには自己欺瞞があるので、その整合性を取り続けなければならなくなります。つまり、嘘に嘘を塗り重ね続けなければいけなくなって、果てしない苦しみの中に落ち込むということになります。
先に断っておくと、実際にこうした媒体の攻略法を発信している人たちを、嘘つきだと批判したいわけではありません。
私がやらないのは、私自身の発信の話です。人に勧めるかどうかは、この後で書きます。
飽和と、渡せない代償
その人が「自分はブログでうまくいったので教えます」と最初に言えば、嘘になります。
だから、実績がない状態で始めて後から作るか、一歩先を行く存在として「まだ大きな成果は出ていないけれど、こうやったらアクセスや反応が集まりました」と、なんとなく凄そうな見せ方で発信して人を集めることになります。
こうした、どこか煮え切らないアプローチを取らざるを得ない部分に、やはり強い葛藤を抱えていました。
自分一人が成功するだけなら、話は別かもしれません。攻略法を謳って人を集め、その集客自体を実績にできるからです。
問題は、後に続く人です。集まってくるのは「自分も攻略したい」と思っている人たちです。
鉄板の形は一つしかありません。だから集まってくる人たちも、自分が攻略した方法として「Substack攻略法」を発信しなければいけなくなります。
そんなことは現実的に不可能です。みんなが一斉に同じ攻略法を出し始めた瞬間に市場は飽和し、一気にうさんくさい話になってしまいます。
いまは、その形がより先鋭化しています。
攻略法を発信して人を集め、その集客の実績を使って、また攻略法を売る。私には、よりそのマッチポンプ度が増しているように見受けられてしまいます。
代償も書いておきます。その人が鉄板以外を選んだとき、私は再現性のあるものを渡せません。
別のジャンルで発信してもらうしかありませんが、それは私が実践して成功した方法ではないので、保証も再現性もありません。
これでは、まるでお客さんを使って実験をしているような形になってしまいます。それは私のポリシーとしてできません。
期待に応えられなかった、ということ
失ったものがあるとしたら、期待に応えられなかったということかもしれません。
「ブログで稼ぎたい」と思ってやってきた人に、鉄板の形を、嘘をついてでも教えて発信しろと言えば、その人は成果を出せたかもしれません。
それをやらなかったことによって、その人は成果が出せないまま、結局結果を出せずに去っていくということになりました。そういう方もたくさんいます。
「それは本当にそれで良かったのか」ということは何度も何度も自問しますし、今でも答えの出ないところです。
だから、ブログを教える講座はやめました。つまり、成果を保証する、成果を約束するような講座はやめたということです。
それを続けていくのが、私の中でもしんどかったからです。
教えれば嘘になり、教えなければ実験になる。
だから、渡して終わりにはできません。
渡せない分は、自分が横で払うことになります。
英会話で始めた人が、いちばんきつかったこと
ブログの講座を受けていた方に、英会話のジャンルで発信を始めた人がいました。いちばんきつかったのは、集客でした。
その方が使っていた無料ブログで発信しても、英会話を頑張ろうと思っている人がそこにいる保証はありません。
実際にはいるのでしょうが、一箇所に固まっているわけではなく、色々なところに散らばっています。
まず「自分を見つけてもらう」ところが、最初の大きなハードルになります。
対して、そのブログの攻略法をそのブログで発信すれば、周りにいるのはみんなそのブログをやっている人です。というか、そういう人ばかりしかいないわけですから。
そばで見ていて、いちばん削られていたのは比較だったと思います。
「なんで自分はうまくいかないのに、そのブログの攻略法を発信している人はあんなにうまくいっているんだろう。」「アクセスもフォロワーも増えて、コメントもたくさん入るし、メルマガ登録も増えて商品も売れていくのに。」
そうなると、「本当に自分はこのままやっていって成果が出るのだろうか」という疑いが強くなります。
結構早々に結果が出ている人を目の当たりにすると、なおさらそう思ってしまいます。そこが一番きついところです。
私がやっていたのは、その本質を何度も何度も伝えて励まし、モチベーションを維持させることでした。
気持ちが沈んだ時に励ますこと。そこがやっぱり一番大変です。
その方は、1年くらい続けて成果を出しました。何度も途中で止まりそうになりましたが、続けた結果です。
そこから英会話の教材が売れたり、個人レッスンのクライアントを獲得できたりということが、どんどんできてきました。つまり、ビジネスとして成り立つようになったということです。
本当に良かったなと思いますし、それはその方の頑張った成果であり、何度もくじけそうになりつつも、踏ん張ってやってきてくれた、その成果だなと思います。
あとはやっぱり、当初の期待に応えることができたという、私の中での大きな安心感、安堵感がありました。
今日、比べている相手のジャンルを確かめる
いま比べてしまっている相手を、一人だけ思い浮かべてみてください。
そして、その人が何のジャンルで発信しているかを確かめる。 それだけです。
その人が、その媒体の攻略法を発信しているなら、勝負している場所が違います。同じ土俵に見えていただけです。
すでに成果が出ている人は、最も早く成果が出る形でやっています。早いのは、そのためです。
自分はそれとは違うやり方をしているのだから、成果が出るまでに時間がかかるのは当然です。
そうした前提を分かった上で、コツコツと継続していく。私が何度も伝えていたのは、この本質です。
この前提だけは、一人でも持てます。
鉄板の形は、たしかにあります。もちろん、選ぶかどうかはあなたの自由です。
ただ、答えを持っていないのにそれをやれば、その瞬間に嘘をつくことになりますし、短期的な成果は出るかもしれないけれども、長期的には本当に苦しむことになるので、私としてはお勧めできません。
それを選ばないのなら、遅いのは実力のせいではありません。
探究の続きを、一緒に
自分は何のジャンルで、誰に向けて発信するのか。この問いは結局のところ、自分が本当は何をやりたいのか、というところに戻ってきます。
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